ゆの里TOP >> コラム「 「アクアフォトミクスは世界を変える!僕たちは本気で、そう思っています」」

「アクアフォトミクスは世界を変える!僕たちは本気で、そう思っています」

代表理事(左)の濵剛さんと副代表理事で弁護士の井垣孝之さん。2人とも、アクアフォトミクスの可能性を具体的にかたちにしたいと考えています。

『ゆの里通信』Vol.14
あの人に会いたい〈 一般財団法人 月のしずく 代表理事 濵 剛さん〉

「財団がいいんじゃないですか」。そう言ったすぐに重岡社長と握手していました(笑)。

宿泊施設「このの」のラウンジにあるガラスの壁面。9つの水のキーワードを表現しています。

 2016年11月。宿泊施設「このの」のラウンジの壁は、できたばかりのアクアフォトミク
スによる水を表現したパネルで輝いていました。
 国際シンポジウムの開催を
受けて、世界12か国22人の研究者のみなさまが「ゆの里」にいらっしゃる。それまでに間に合わせたかったガラスの壁面です。その時のことを濵さんは
 「あの日、重岡社長との会食が終わった夜の10時ごろ。数人がこののに移動して、できたばかりの壁面を感慨深げに見ていたのです。ツェンコヴァ先生の研究は、やっぱりすごいよね、みんなで支援したいよねと、食事の延長の話題が続いて。新しい事業をやるヤツにお金は出させるとして、でも受け皿がいるよねと……」
 そのあとは、すべて「流れ」としか今は言いようがない。
 「受け皿なら、財団がいいんじゃないですか?」
 軽い提案のつもりで言った濵さんの一言に、居合わせた者たちが「ありがとう! ありがとう!」と感激の握手を求めてきたのです。
 「自然の流れというか、それなら、僕、やりますよ」と気づいたら思わず答えていた。
 すぐに蓄えていた貯金を切りくずして財団設立資金に。当たり前ですが全額寄付、これって返ってこないお金ですよね?
 「僕、ちょうど、持っていたのです」
 設立にあてたお金は、実は新しい事業を自分で立ち上げたいと貯めていた濵さんの独立資金でもありました。
 ヘッドハンティングのような形でいまの会社に転職したものの、自分の中では「次」への挑戦をしたくて、その機会を狙っていたのです。
 「それが財団なんだと思いました。新しいビジネスは、世のため人のためになるビジネスに
したいと、ずっと思い描いていたのですが、それには社会貢献が先なのですよね。自分の器がしっかりできて、まわりから磨いてもらったあとに、自分が目指しているビジネスにつながると思うのです」
 どこまでもまっすぐな〝ハマちゃん〟は失礼ながら、まだ40代、しかも独身。「ビジネスの基本は人助け」と言いきる志はりっぱだけれど……。
 「争うことをなくしたい。夢ですけれど、地上の楽園をつくりたいんですね。アクアフォトミクスが広まることは、僕の中の夢と重なるのです。本質を広めるという意味で、ピッタリきました」
 平和主義者の濵さんの根っ子は、どこにあるのだろう。

とにかく親父が怖かった。怖くて怖くて、ほとんど口を聞かずに生きてきました。

 話をまた、財団設立にもどします。
 重岡社長から聞いたツェンコヴァ先生の「アクアフォトミクス」の可能性に心を動かされて財団設立に手を挙げた濵さんですが、財団名ではやや難航しました。
 財団設立の目的は、ツェンコヴァ先生を含め、先生が関係したアクアフォトミクスの研究に100%支援するためのものと決めていました。
 受け皿の財団の名称を決めようとなったとき、いちばん最初に候補に挙がったのが「アクアフォトミクス財団」という名前。早速、そのことをツェンコヴァ先生に告げると、やや難色
を示されたのです。
 2005年に先生が命名されたアクアフォトミクスという科学の分野は、文字通り、先生が自力で広めてこられた開拓の道。
 タンパク質の研究の中で、自分が見ているのはタンパク質ではなく、そのまわりにある水を見ているのだと気づいて、光と水の役割を診断できるシステムの発見につながりました。
 そんな先生に対して、まわりの研究者は「水は掴みどころがないから、一生を棒に振るよ」と忠告。それほど水の研究は、未開の地であり、そこから生まれた「アクアフォトミクス」という光と水を使った解析方法の科学分野は、先生にとっては、まさに我が子のような大切な存在だったのです。
 研究結果の公表や、具体的な寄付・協力姿勢について慎重に進めてこられた先生は、アクアフォトミクスの使用にも慎重でした。
 そんなとき、「ゆの里」の重岡社長から、財団名は「月のしずく」にしてはどうだろうと提案がありました。
 これには、ワケがありました。
 2016年11月、「第二回アクアフォトミクス国際シンポジウム」が開催されたたときのこと。神戸大学で4日間、世界各地から著名な科学者がアクアフォトミクスを使って得た成果を発表した、連日、熱気に満ちたすばらしい会でした。
 シンポジウムにはスポンサーはつきもの。世界から研究者を呼ぶのですから、渡航・滞在費を含め運営費は、かなり大きな金額になります。
 神戸のシンポジウムでも数社の企業が協賛しました。水に関連した企業が多く、ツェンコヴァ先生がデータ解析し、納得した企業もありましたが、中には「?」の企業も含まれていました。
 当然、スポンサーですから販促物を配布するなど「宣伝行為」は〝お約束〟。でも、ツェンコヴァ先生は「協賛はしてもらうのだけれど、企業のチラシ等は配らないことにします」と英断されたのです。いわゆる「ひも付き」のシンポジウムに完全にノーと言われたわけですね。
 この判断に私たちは拍手喝采したものの次回から、資金集めが課題になります。そんなこともあって、重岡社長は、財団の名前に「月のしずく」とつければ、あやしい浄水器メーカーや飲料水会社など、好ましくない企業はまず入れない。スポンサーの色に染まらない資金援助ができれば、純粋にアクアフォトミクスの研究に、研究者たちが没頭できるのではないかと考えたのです。

濵さんに賛同した支援の輪が広がり、財団が動き出しました。

 2017年4月「一般財団法人 月のしずく」の登記が済み、ホームページも完成しました。財団メンバーも、弁護士や税理士、治療家、海外経験豊富な事業家など職種はさまざまですが、まさに「同志」と呼べるほど濵さんの志に賛同し、心からアクアフォトミクスの将来に夢を託して集まってくれた〝強者〟です。
 財団の目的のひとつに、国内外を問わずアクアフォトミクスを使って水を学び、研究をしたい若い人たちの支援があります。濵さんが投じた資金での活動スタートは、そんな若い研究者も参加したスイス・ルガノ市での会議でした。
 2016年に神戸で開かれたアクアフォトミクスの国際シンポジウムの第二ステージともいえるミーティングで、量子科学者も多数参加。より深い議論の場になり、研究者たちの渡航費用等に役立ちました。
 初日のミーティングの最後には、「ゆの里」の重岡社長が財団の代表理事である濵剛さんのメッセージを代読する場面もあり、参加メンバーにも財団の設立の意味と、サポートの内容が伝わりました。
 「ゆの里」のお客様で、以前からアクアフォトミクスの研究に興味があった方が、ワークショップの収益を全額寄付してくだるなど、すでに個人の寄付も集まってきています。
 こうして、ひとりのビジネスマンが手を挙げて広まった支援の輪は、確実にかたちになり、実を結ぼうとしています。
 次の頁で財団の寄付についても書いています。ぜひ、お読みいただいて、支援の輪を広げてください。